2012年9月1日号(第665号)

微力だけど、無力じゃない

原水禁世界大会に府本部から参加

photo

熱線と爆風、放射線により一瞬にして多くの命を奪った原子爆弾が広島・長崎に投下され今年で67年を迎えた。今もなお、多くの被爆者が放射能障害に苦しみ、昨年の東日本大震災での福島第一原発事故以降、脱原発の動きも活発だ。府本部は京都平和フォーラムに結集し広島・長崎の原水禁世界大会に参加した。広島には6名、長崎には2名が参加した。

広島大会

被爆67周年原水禁世界大会・広島大会が4日〜6日の3日間の日程で行われ、初日に行われた連合、核禁会議、原水禁の三団体主催による大会には約6500人が参加した。

photo

5日、参加した「見て、聞いて、学ぼうヒロシマ‐入門編」という分科会の講演で原爆被害者である語り部から体験報告を受けた。男性は「夏になると、いまだにあの地獄絵図が夢に出てくる」と切り出し、「8月6日午前8時15分、史上初の原子爆弾が広島に投下された。わずか一発で市街地は焼き尽くされた。朝から雲一つない青空であったが、朝の晴天とはうって変わって空にはどす黒く分厚い雲。間もなくあられのような雨が降ってきた。「黒い雨」は焦土と化した広島を追い打つように降り続いた。」と原爆当時の様子を振り返った。さらに「終戦後、戦争の愚かさと平和の大切さを語り継ぐことが自分の宿命なのだと感じた」と話し、「被爆者はみんな高齢化し、直接話すことができる時間はあまり多く残っていない、命が尽きるまで語り続ける。特に若い世代に伝えたい」と訴えた。原爆体験の風化は切実な問題だ。最後に、最近の国際情勢について「いい気はしない」と語り、「何もかも思い通りにやりたいと考えるから戦争が起こるんだ」と静かに話した。「力の支配」への抗議に聞こえた。

6日、広島平和記念公園の原爆死没者慰霊碑前は、祈りを捧げようと午前6時ごろには長蛇の列ができ、午前8時15分、集まった多くの人とともに黙とうを捧げた。

長崎大会

原水禁世界大会・長崎大会は7日〜9日の3日間の日程で行われた。初日、連合、核禁会議、原水禁の三団体共催の「核兵器廃絶2012平和ナガサキ大会」があり、約4500人が参加した。

連合の南雲事務局長は代表あいさつで、「核兵器廃絶と恒久平和の実現をめざし、多くのNGOと連携して職場、地域で粘り強く取り組んでいく」と訴えた。続いて、県被爆者手帳友愛会の中島会長から被爆体験が語られ、命の続く限り伝えていくと述べられた。ジュネーブの国連欧州本部へ核兵器廃絶を求める署名を届ける15代高校生平和大使からは「微力だけど無力じゃない。これまでの活動を引継ぎ、精一杯がんばる」との決意表明がされた。老若男女有志による構成詩の披露の後、最後に「戦争を命懸けで反対するのは当然だが、崩れ易い平和はもっと命を懸けて守らないといけない」との平和アピールが行われた。

2日目は長崎県内各地でフィールドワーク、分科会が行われ、「自分の得意な、また好きな方法で平和は作れる」、「被爆者の経験を10万分の1でも地元で伝えて欲しい」とメッセージが発せられた。

3日目は、爆心地から僅か約2キロの地点で被爆された家野町の皆さんから下唇を震わせながらの体験談を聞き、まとめ集会に参加した。集会では、ドイツ連邦議会緑の党へーベル氏からも国際連帯のあいさつや福島県平和フォーラムから福島の現状報告と訴えがあり、最後に核兵器否定と福島繰り返さない脱原発社会を実現しようと宣言文を確認し、11時2分に爆心地公園にて黙とうを捧げた。

不当解雇撤回闘争に勝利!

地労委命令 不当労働行為も救済 京都衛生開発労組

2011年7月に地労委に申立てをおこなった、京都衛生開発労組の不当解雇撤回、不当労働行為救済闘争は、8月24日、京都府労働委員会にて岡本美保子公益委員より命令書が交付された。命令書の内容は下記のとおり。

〈主文(認定内容)〉

  1. 執行委員の解雇をなかったものとし、原職復帰と解雇の翌日からこの間の賃金相当額を支払うこと。
  2. 分別指導員業務から外れていた組合員の業務復帰と、復帰させるまでの間の特殊勤務手当相当額を支払うこと。
  3. 早朝事業系一般廃棄物収集運搬業務から外れていた組合員の業務復帰と、復帰させるまでの間の特殊勤務手当相当額を支払うこと。
  4. 会社役員が組合員に対して行った解雇、並びに一部の発言を不当労働行為(支配介入)として認定する。
  5. 上記4. の行為について、今後行わないことを誓約する書面を提出すること。

今回の命令は、労組の申立て内容の全てを救済したものではないが、審問時における組合員等の勇気ある証言、陳述書の提出などの努力が報われた結果だ。今後の取り組みとしては、当局(会社)側に対し、命令書を順守し、速やかに健全な労使関係に復することを求めつつ、不本意にも不服申し立て等がなされた場合の闘争体制の維持、強化も念頭に情況を注視していく必要がある。

衛生開発労組の嶌委員長は「府本部に結集するみなさんのおかげでここまでこれた。命令書どおり執行委員を職場に復帰させ、当局と話し合える会社をめざし最後まで闘う」と決意を述べた。

地域・人との絆を大切に

京都自治研集会を開催 8月3日

photo

府本部・NPO京都自治総研は、8月3日ハートピア京都で「2012京都自治研集会」を開催した。会場には組合員、自治体議員など百七十人が参加。全体会での講演と、分科会では、各単組から提出された28本の活動レポートの報告がおこなわれた。

全体会の冒頭、橋元委員長が「東日本大震災で公共サービスの重要性は改めて確認された。自治体職員として住民を守るサービスのあり方や自治体の役割など、自治研活動で得た知識を現場に生かそう」とあいさつ。その後、谷口副委員長から、この集会のテーマである「絆を胸に!地域主権で進める公共サービスの再生」と題して基調提案をおこなった。

photo

その後、滋賀大学の佐和学長より「グリーン経済への歩み」と題して講演がおこなわれた。講師は、経済とエネルギー消費の関連を述べ、日本経済が生き残るには、脱原発を通じた環境保全や持続可能な循環型社会を基盤とする経済への転換が必要だと話した。さらに、日本の学生の学力低下を指摘し、「これからの日本は環境産業の技術を売りにすべきだが、技術だけでは十分ではない。ハートを躍動、高まらせるようなものづくりには、文学や歴史など幅広い知識が必要だ」と訴えた。

photo

その後、京都新聞の佐分利記者より「震災に見る京都の歴史」と題した講演を受け、大地震は集中して起こる。過去の教訓を生かし対策をすべきだということを学び、全体会を終了した。

分科会は、特別分科会を含む5つのテーマに分かれて議論。「地域を支える自治体行政」と題した第一分科会では、京都市水道労働組合や京都交通労働組合など、公共サービスを担う他産別の仲間からも報告を受けた。

それぞれの分科会から優秀レポートを京都自治研賞として選出、10月に神戸市で行われる全国自治研集会に招待する。

京都自治研賞(特別分科会除く)
第1分科会 京都交通労働組合 「公営交通で走り続けるために」
第2分科会 自治労京都市職 「石巻市の支援報告」
第3分科会 福知山市職 「協働と人権〜自治基本条例と市民協働」
第4分科会 八幡市職労 「現業評議会結成とその後の取り組み」

ボランティアに協力

京都府南部豪雨災害

photo

8月13日未明に発生した府南部豪雨災害で被災された組合員の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。今回の災害は、宇治市をはじめとする府南部エリアにおいて、死者・行方不明者や家屋損壊、床上・床下浸水等大きな被害を与えました。

連合京都では、久保田宇治市長からの災害復旧に係るボランティア要請に応じ、8月18日〜19日の2日間、家屋の泥出しや畳上げ、家具運びなどの救援活動を実施し、府本部も2日間で延べ15人が協力しました。今後も派遣要請に応じて協力していきます。

『自治労きょうと』一覧に戻る