2015年1月1日号(第709号)

2015年 新年特集号

働く物の権利と将来を守り
豊かな地域社会を創造しよう

photo職場・地域で一致団結
自治労京都府本部 執行委員長 高橋 直樹

新年明けましておめでとうございます。組合員とご家族のみなさまに謹んで新年のごあいさつを申し上げます。また旧年中は、自治労京都府本部の様々な活動や取り組みにご参加いただきましてありがとうございました。

さて、昨年は賃上げによる日本経済のデフレからの脱却をめざした春季生活闘争の結果、月例賃金・一時金のいずれも近年にない引き上げを勝ち取り、人事院勧告においても7年ぶりの引き上げ勧告となりました。

しかし、人事院からは俸給水準の引き下げを柱とする給与制度の総合的見直しが一方的に報告・勧告され、確定期には、導入阻止・給与水準維持へ向けた各単組での積極的な取り組みをお願いしてきました。そしてその結果、多くの単組において様々な成果を勝ち取って頂くことができました。

一方、国政に目を向ければ、アベノミクスは国民生活を圧迫し、社会的格差は拡大し続けています。また、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更が閣議決定されるなど、私たち働く者の権利や将来の安心が脅かされています。
今年は、家族の安泰や平和を象徴する羊年です。羊にまつわることわざに、「群羊を駆りて猛虎を攻む(ぐんようをかりてもうこをせむ)」というものがあります。その意味は、たとえ力が弱くても集合すれば強い力を発揮できるというものであり、まさに私たちは今年こそ、そのことを実践していかなくてはならないと思います。

連合は今春闘「賃上げで景気の支え」をスローガンに、定期昇給に加え、2%以上のベースアップをめざすとしています。そして今年は4年に一度の統一地方選挙の年でもあります。私たちの生活を守るため、そして豊かな地域社会を創造していくためにも、それぞれの職場・地域で文字通り一致団結し、ご奮闘いただきますことをお願い致しまして、年頭のご挨拶といたします。

2015新春座談会 市民の幸福をめざした政策提言が力になる

連帯型の労働運動を

自治労京都府本部は、公共サービスを守り、労働者の暮らしと生活を豊かにするために、政治政策闘争に取り組んでいます。特に2015年は、第18回統一地方選挙が行なわれ、私たちにとって身近な政策を実現する重要な取り組みとなります。

この新春座談会では、高橋直樹執行委員長がコーディネイターとなり、京都府自治体議員連合のメンバーに現在の政治状況や政策提言の在り方などを語っていただきました。参加していただいたのは、平井としき京都府議会議員、小林あきろう京都市会議員、米沢修二京田辺市議会議員、ふじかわ剛元京都市会議員の4人です。

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    京都府議会議員
    平井 としき
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    京都市会議員
    小林 あきろう
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    前京都市会議員
    ふじかわ 剛
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    京田辺市議会議員
    米沢 修司
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    執行委員長
    高橋 直樹
これまでの活動を振り返って
高橋
あけましておめでとうございます。2015年の幕があけました。今年は統一地方選挙があり、皆さんの士気もすでに高揚して来ていると思いますが、まずは、これまでの活動を振り返っていただきます。
米沢
京田辺で市会議員として2期8年になります。まず、公立保育園の運営改善に着目し、現在では利用しやすく、園児の人数も増えてきました。
また、議員になってすぐに、ごみ焼却場の更新計画を取り上げ、京田辺市の単独事業ではなく広域的処理を求めてきたところ、昨年11月に枚方市と共同で検討するところまできました。
平井
府会議員として住民相談など、様々なことに積極的につながりを持てたことで私自身のネットワークが広がりました。
また、府立体育館の利用時間区分の変更や通学路の信号機の設置など、具体的な問題が解決したことで議員としての手ごたえを感じています。
小林
十数年前の話ですが「国家戦略としての京都創生」に取り組み、それが踏襲され、京都市から国への要望事項として今では基本的な政策提言になっています。
また、京都市の河川でほたるの自然発生ができる水辺環境にしたいと環境問題を10年前に提起しました。今では「ほたるネットワーク」が設立され、上京区では堀川一条戻り橋上流に3年連続ほたるが自然発生する環境になりました。花街がある上七軒通りの無電柱化や石畳風の道路舗装も実現することができました。
藤川
4年前に悔しい思いをしましたので、自分にできることをしなければと、住民の皆さまからたくさんの要望や意見を聞き、それを行政などにつなげる役割を意識してきました。
また、ビラまきや街頭行動に応援にきていただいているみなさんのありがたみをひしひしと感じました。
地方から自公政権についてどう考えるか
高橋
昨年の春闘では、連合に参加している労働組合の奮闘の結果、多くの単組でベースアップがありました。人勧も7年ぶりの引き上げとなり、自治労の多くの単組で月例給・一時金とも引き上げとなりました。一方、給与制度の総合的見直しについては、国では人件費総額は変わらない配分の問題であるのに対し、地方公務員にとっては給与削減となるだけです。人事院は第3者機関としての役割を果たさず理不尽な勧告をしました。その原因は政府や自民党の要請なのです。中央主権を強める政治が最近特にひどくなってきているのではないでしょうか。今の自公政権に対して地方議員の立場から、どう感じておられますか。
平井
春闘は本来、労使で経済状況を見ながら闘われます。昨年、安倍首相は賃金が上らなければ自らが立てた経済政策が危ないと、企業に「賃金を上げるよう」と圧力をかけました。そして、経済界の重鎮が「それならあげましょう」と一部だけ応えたのが実態でしょう。全体の賃上げは連合など労働組合の成果です。また、円高から円安になって一部の輸出産業が儲かり、それが企業の内部留保に積立てられた。国民には還元されていません。さらに、これまで自民党も地方自治の根幹部分には踏み込まなかったのに、一方的に各自治体の権限を踏みにじるような政策を進めてくる。これこそ地方自治の観点から逆行しています。安倍政権は間違っている。私は、国民の視点、市民の視点に立って声を上げていきたい。
さらに、安倍政権はいとも簡単に日本を「戦争のできる国」にしようとしています。特定秘密保護法のように戦前の国家に戻るようなことを平気で行なっている。戦争体験のない者にまで、もう一度強い日本をつくろうと策動している。平和を抜きにして政治を進めることは間違いであり、今の自民党政権は、しっかり糾弾していかなければと思っています。
小林
平和・人権・環境の問題も大きいですが、文化への戦略的な世界レベルでの問題について今の政権はすべて落第と思っています。京都は地方都市であっても、世界の文化や歴史に対して果たすべき役割は大きい。もっと世界に向けた発信をするべきです。その点において今の政権は、それを果たしていない。また、公務労働者に対する厳しい態度は今の政権である限り、より一層悪い状況が促進されるのではないでしょうか。再び政権交代を果たさなくてはと思っています。
米沢
消費税を引き上げて、子育て支援や社会保障を充実させると三党合意されたが、財源の仕組みは不透明なまま。法律が施行されても自治体の現場では具体的な施策を打つ時、財源が確保されているのか疑問と心配があります。なかなか具体的施策を打てないというのが現実ではないでしょうか。消費税10%を先送りしましたが、小泉行革と同じになる懸念があります。現政府に対して、民主党も含めて野党がきちんと対峙する必要があります。
藤川
民主党政権の時、「地域のことは地域で」と権限と財源は地方に回った。しかし、自公政権になり、ひっくり返ってしまいました。この歪みが大きい。子育て支援の話もそうで、自治体がやろうとしても財源の裏付けがないとか、紐付き交付金で自由度がないとか。交付金の使い道は自治体に任せて地域経済を活性化していかないとこれから地 域はますます疲弊してしまいます。新自由主義が進み、弱い地域は潰れてしまいます。そこを杭止めるのが喫緊の課題であり、協力議員として一つの歯車になれるよう、また自公政権を倒す取り組みをさせていただきたい。
高橋
労働法制が改悪され、非正規の給料はますます下がり、気がつけば「戦争ができる国」では手遅れなのです。一度、政権交代したことで、自民党のやり方は非常に狡猾になってきている。私たちの声をあげて再度、政権を変えていくことが必要です。
労働組合に期待すること
高橋
昨年の全国自治研、基調講演のテーマは「みんなが幸せになる、自治体職員の働き方」でした。
私たちが働くことによって市民が幸福になる。組合活動もそれを求めていく。市民を幸福にするための条例をつくろうという自治体も出てきています。今の組合や組合員に対して「市民の幸福のためにこんなことができるのではないか。労働組合はこんなことを発信できるのではないか」と組織内議員から見て、また組合活動の経験から意見があれば教えてください。
米沢
全国自治研集会で京田辺市職組合員が自治研究論文で奨励賞を受賞したテーマは「京田辺市における新たな移動空間の創出によるまちづくりの提案」でした。市民と話をして「新しい道は歩道が整備されている。昔の道の歩道は狭い。安心して歩ける道にしてほしい」と提案を受けました。市民の思いを繋げるよう労働組合が政策提言をされた。このように、自治研活動を行っていくことで、市民の思いを実現してほしいです。
平井
まさしく労働組合が自治研活動をやらなければと思います。もちろん組合員の賃金や労働条件を守ることは基本的役割ですが、自治体職員は法律や条例に基づいて働いています。そのぶん問題点もよく見えてくる。いまある法律や条例が地域の人たちの問題を解決していないと気づくこともあります。その時、首長の政治判断で進めるより、ボトムアップの形をつくれるのが自治労の重要な働きではないかと思います。それから、労働組合は地域活動やボランティアをされていますがもっと市民に見える、貢献度を高める運動をしていくことが重要です。
小林
「労働運動や組合は改革の学校」という言葉があります。世の中を変えるという意味では労働運動はその大切なツールだと思います。「組合活動を通じて自己改革ができた。自分自身を鍛えていきたい」と若い組合役員の言葉が思いだされます。組合運動に関わって一生懸命やればやるほど必ず自ら発展します。みなさんが自己改革の場として、また新しい視点を持って運動を進めてほしいと思います。
藤川
私が4年間、地元を中心に活動して感じたことは、例えば職員が地元の行事に参加し、そこで聞いた意見を組合が吸い上げる。そして、一緒に解決に向けて取り組めば、地域の課題を自治体や行政に発展できるのではないでしょうか。組合の果たす役割に期待しています。
高橋
仕事も組合も忙しいなか、私たちが地域で何ができるのかは全国自治研でも課題として取り上げられていました。「昔の労働組合は力も弱くて、職場は劣悪な労働条件でしたが、それが改善できたのは地域の人たちの理解と家族のサポートがあったからです。労働組合が力をつけて抵抗型から要求型になり、今度は、弱いものの立場に立つ労働組合、連帯型の労働運動をしてほしい」と。労働組合の組織率が低下するなか、非正規や未組織労働者が増え社会的影響力を持ちえなくなってきている。これからは地域や市民との連帯型の労働組合が求められるのではないでしょうか。
もう一つは、自治体職員は市民サービスで給料をもらって仕事をするだけなく、市民のみなさんが喜ぶことが働く生きがいにつながる、そのことが大切だと思います。そして、地域の一員として自らの位置づけを考え、仕事と組合を地域に根ざすことが求められています。
平井
自治労に「地域で運動しよう」とのスローガンがあります。地域への展開との方法として、例えば、住民相談があります。制度を把握されていない市民のみなさんに「こうすればできます」とアドバイスすると喜ばれます。地域の問題や市民の悩みを解決する方法に、制度を熟知している自治労の組合員が地域に入ってくという方法はいかがでしょう。また、昨年の労働法制は結果的に廃案になりましたが、自民党が労働者への攻撃をする時、民主党叩き、公務労働者叩き、労働組合叩きをする。結果として、国民の利益や権利が奪われているのです。民主党議員が国会だけで闘うのではなく、連合が昨年行ったタスキリレーのようにもっと市民に訴えていくことも重要だと思います。
2015年 今年の抱負について

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高橋
さて、今年は勝負の年。統一地方選挙への意気込みや今年の抱負を一言ずつお願いします。
米沢
市役所職員の思いと私の思いをつなぎながら市民のための政策を実現したい。一緒になって考え、さらに活動を進めてまいりたいと思います。
小林
8期目の挑戦となります。思想を高潔に保ちながら、精一杯活動してまいります。肉体的には厳しくなってきましたが、精神的には他の候補者に劣ることはないと確信しています。
平井
職員や地域の人たちが頑張っているなか、私は府政の推進をサポートすることが重要と考えます。また、政権が代わって民主党が掲げた、地域主権や地方分権が後戻りしています。足踏みではなく、これは打開していかないといけない。自治労の枠で考え、地域での取り組をさらに進めていきます。
藤川
地域で活動をしたり、活動をしたいと思ったりしている職員や組合員と連携しながら、自分たちの地域を住みやすい街にしていきたい。この3カ月が勝負です。議員として自治体議員連合の仲間となれるよう結果をだしたいです。
高橋
組織内候補ということで自治労京都府本部も全力で支援させていただきます。これまでの経験も踏まえて、組合員に近い立場で政策や制度の実現に尽力をしていただくようお願いします。
最後に昨年の10月に組織内議員として長年ご活躍いただいた大野府議会議員がご逝去されました。謹んでご冥福をお祈りするとともに、大野府議会議員のめざされた「平和・人権・環境・共生の福祉社会の実現」に向けてのこされた私たちが努力していきたいと思います。ありがとうございました。

食べて美味し着て暖か

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人とひつじのお話

羊は偶蹄目(ぐうていもく)反芻(はんすう)亜目牛科に属しており、いわば牛の仲間です。羊が家畜化されたのはおよそ1万1000年前、現在のイラク北部といわれています。

一口に羊といってもたくさんの品種があり、大きくは羊毛を取るための「細毛種」、食肉用の「マトン種」、繁殖力の高い「短尾種」、乳用の「脂肪尾種」、熱帯地方で食用となっている「粗毛種」に分けられます。

羊肉は美容食

現在、世界最大の羊肉の輸出国はニュージーランドで、続いてオーストラリアです。また、遠く北極圏の国、アイスランドもヨーロッパ向けに羊肉の輸出がさかんです。品種ではありませんが、フランスの沿岸牧草地で塩分のたっぷり含んだ草とコケを食べて育った子羊は「プレ・サレ」と呼ばれ、フランス料理でたいへん珍重されています。

羊肉自体にも種類があり、ラムが生後1年未満の羊の肉で、マトンはだいたい2歳以上の成羊の肉をさしています。ではその中間はというと、ホゲットと呼ばれてオーストラリアやニュージーランドで流通しています。しかし、輸出での呼称は認められていないため、日本ではマトンとして流通しているようです。

肥育方法のちがいでも呼称は変わります。自然の牧草で飼育された羊は「グラスフェッド」。赤身が多く、あっさりした味わいが特徴で、無駄な脂肪分がないのでヘルシー志向になります。また、肥育場で栄養価の高い穀物飼料により肥育されたものは「グレインフェッド」と呼ばれ、ジューシーな肉になるといわれています。

羊肉の特徴は、牛乳並の高タンパクと豊富なミネラル分を含んでいること。イギリスの王室料理やフランス料理界では子羊の肉は最高の食材とされており、牛肉よりも価値が高いとさえいわれています。羊の脂肪は牛肉や豚肉にくらべて吸収されにくいという特徴があり、カロリーが低い割には栄養分が多く含まれ、美容食といってもいいほどです。

羊毛の歴史

野生の羊は「ケンプ」と呼ばれる上毛に覆われています。しかし、家畜化させた羊は改良を重ね、上毛を退行させる代わりに、中間毛と緬毛(めんもう)(ウール)を発達させました。

日本の文献に現れる羊の記録といえば、599年に百済が推古天皇に対して贈った貢物の中に山羊1頭、そして黒羊2頭、白羊4頭、との記録があるのみです。

明治期に入るとお雇い外国人によってさまざまな品種の羊が持ち込まれましたが、冷涼な気候に適した羊は日本の湿潤な環境に馴染まず、多くの品種は定着しませんでした。外国人ル・ジャンドルが軍用毛布のため羊毛の自給の必要性を説き、1875年(明治8年)に大久保利通によって下総に牧羊場が新設されました。これが日本での本格的なヒツジの飼育の始まりです。

羊毛は洋服の素材として利用されており、「保湿性と保温性が高い」「しわになりにくい」「抗菌・消臭機能がある」といった利点があります。しかし、「洗うと縮む(クリーニングでウールの油分が奪われることもある)」「擦れたり、アイロンは当て布をしないと光る」など保存面での欠点もあります。

羊そのものとは日常生活で関わることは少ないのですが、食生活や服装などさまざまな場面で人との関わりが多くみられます。一度身の回りを見渡してみましょう。

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