2017年1月1日号(第745号)

2017年 新年特集号

小さな子どもがシャボン玉を吹いて作るとき、息の強さの加減は意外と難しいようです。何度か挑戦すると、きれいに膨らみ風に乗って舞い上がりました。

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来るべき闘いに備えて
自治労京都府本部 執行委員長 高橋 直樹

 

新年明けましておめでとうございます。組合員とご家族のみなさまに謹んで新年のごあいさつを申し上げます。また、旧年中は様々な活動や取り組みにご参加いただきましてありがとうございました。とりわけ年明け早々の京都市・八幡市の両市長選挙、突然の衆議院議員京都3区補欠選挙、さらに7月の参議院選挙など多くの政治闘争に多大なご尽力をいただきました。そしてその結果、大きな成果を収めるとともに、自治労の代表である「えさきたかし」参議院議員の再選を勝ち取ることができました。今後は当選されました方々の活動を支えるとともに、連携を強化し、働くことを軸とした安心社会の実現へ向けて邁進して参りたいと思います。

また、「底上げ・底支え」と「格差是正」に重点を置いた春季生活闘争の結果、三年連続の月例給及び一時金の引上げ勧告を勝ち取ることが出来ましたが、扶養手当の見直しや官民較差の一部が地方にはない手当に配分されるなど、課題も多い確定闘争となりました。しかしそうした状況の中、各単組での積極的な取り組みにより、様々な成果を上げていただくことが出来ました。

一方、国政に目を向ければ、英国のEU離脱や米国大統領選挙でのトランプ氏の勝利など、世界各地で行き過ぎた競争社会やグローバル化に対する反動が巻き起こる中、TPPにも見られるように、わが国はさらなるグローバル化へと突き進んでいます。私たちはこうした過ちを正し、働く者、生活者の手に政治を取り戻すため、解散総選挙という、来るべき闘いに備えていかなくてはなりません。

日本の平和を守り、格差社会を是正するとともに連帯社会を実現していくため、それぞれの職場・地域でご奮闘いただきますことをお願い致しまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。

2017新春対談 持続可能な地域社会の実現をめざそう

自治労京都府本部は、労働者の権利を守り、豊かで平和な暮らしをめざして取り組みを進めています。しかし、安倍政権は数の力で強引な政治を行い、昨年は多くの政策が国会で十分な議論もされず、強行採決により決定されました。また、新しいアメリカ大統領が誕生することとなり、日本にどのような影響を及ぼすのか不安な要因が強まっています。

この新春対談は、高橋直樹執行委員長・岡本哲也書記長と北神圭朗衆議院議員にこれまでの安倍政権の問題点、これからの日本についてを語っていただきました。

私たちの手に政治を取り戻そう

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北神圭朗
衆議院議員
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高橋直樹
執行委員長
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岡本哲也
書記長
国会議員に返り咲いて
岡本
あけましておめでとうございます。さて、昨年4月に繰り上げ当選で返り咲いて、以前と比べていかがですか。
北神
あけましておめでとうございます。組合や後援会のみなさんが喜んでくれました。周囲が明るくなりました。国会の状況は政権をとっていた時と比べると全然違います。
高橋
自治労の政策協力議員で自治労のために貢献していただいて、組合員から期待や信頼があります。
北神
ありがとうございます。競輪関係で、赤字でも一定の金額を拠出する制度を黒字の時だけと法改正をしたことが、自治労本部の方でも評価していただきました。昨年の臨時国会初日に、自治労の協力議員が揃って勉強会を行いました。
高橋
公共交通のあり方を考える議員懇談会のメンバーにも入られ、ますます活躍の場が広がっています。
安倍政権の国会運営
北神
我々としてはTPPの審議をしているはずなのに、強行採決があたりまえのようにいわれると、普通に採決していたら立つ瀬がない、ここのギャップがあります。
高橋
日本では農産物に影響が大きいという。しかし、実は薬の認可や金融業など、いろいろ影響があります。さらに、公契約条例が訴えられたら違法になるとか。地元中小企業を優先的に公共事業で指名することもできなくなる。
北神
詳細がわからずに採択されている。実際ISDS条項で民間企業が国を訴えています。今までの自由貿易協定にもあります。日本にはまだ使われていませんが。
岡本
ブラジルなど他国も大きな賠償額で訴えられています。
北神
その議論もされていません。そもそも、例えば、自動車の関税では日本はアメリカの自動車に対して0%ですが、アメリカは日本の自動車に対して2・5%の関税をかけている。その関税撤廃は25年後ですから本当に意味があるのか。アメリカが反対するのになぜそんなに急ぐのか。疑問点を洗いざらい審議する時間が十分あったということです。
高橋
次期大統領もTPPに参加しないと発言しています。
北神
よくも悪くもTPPはできないです。トランプ氏も当面、TPPを復活させることはないと思います。名前を変え、中身を変えないと無理だと思います。
高橋
トランプ氏はTPPより、一対一外交を進めようとしている。日本が厳しくなるのではないですか。
北神
複数の国がいた方が、まだアメリカに圧力をかけることができ、その方が有利です。中国の外交もすぐ一対一にもっていこうとします。領土問題も多国間協議はだめだというのが中国の原則です。多国間になると連携して中国に対応できる。
高橋
カジノ法案も全く議論されていません。
北神
与党議員の質問は法案を礼賛するだけです。民進党の緒方林太郎衆議院議員が違法性の問題を指摘しましたが、回答もしどろもどろで終わっています。年金法案も審議時間が短すぎます。ある程度年金を減らし、将来世代の年金を確保するという考えは理解しますが、政府が試算を示さない。民進党の計算だと1年間に厚生年金が14万円減らされる。そういう議論もなく、強行採決されるなら国会の議論の意味がないということです。
アベノミクスの真相
北神
アベノミクスは最初からでたらめな政策ですが、数年間、まがりなりにも確かに景気はよくなってきている。
これは2008年のリーマンショック後に、少しずつ回復して、中国、ヨーロッパ、アメリカの経済がよくなってきたという、もともとの景気上昇が前提にあります。円安政策も本当は消費者にきつかったはずが、原油が暴落して中小企業も消費者も助かった。
高橋
3次補正でどんどん借金が増えていますが、財政規律などはどうですか。
北神
安倍総理も自民党もデフレ脱却を目指した。
そのために物価上昇を設定し、物価が2%まで上昇しないとずっと景気対策をすることができる。GDPは悪くなく、平均0・8%くらい伸びている。四半期で、GDPがマイナスで初めて景気対策に税金を使って公共事業などをしていたのですが、これが「デフレ脱却」という名目でいくらでも景気対策ができる政策になっている。自民党にとっては最高です。支援者である建設業界にいくらでも出せるということです。一方で、財政規律が外れてしまいました。
消費税増税延期のしわ寄せが少子化対策にきている。消費税が延期された分、国からの交付金が減らされて若い人たちの対策も疎かになるし、財政負担も厳しくなる。いつ財政破綻が起こるかわからない。破綻するかどうかは外資系ファンドや、金融投資家の思いつきですから、最低限、国が「財政規律に一生懸命です」と外資系ファンドや金融投資家に示すことが大事です。
高橋
来年度、防衛費もどんどん増え、アメリカから必要でない戦闘機を買わされる懸念もあるのでは。
岡本
専門家によると自国でやる方が安くつくといわれていますが。
北神
防衛費は、今後トランプ氏になるともっと増える可能性があります。レーダー基地については、京都以外にも日本海側にあり、日本にとってどこまで必要なのか不明です。情報は日本の土地を借りてアメリカにいくわけですから、アメリカにとっては利益がある。
岡本
自治労は基地反対運動しているわけですが、基地問題を考えるには、いい機会だと思います。
北神
どこまで防衛が必要になるかを考える機会にはなると思います。ただ不安もあります。下手な舵を切ると極端な方向にいってしまいます。
高橋
イギリスのEU離脱もそうですし。行き過ぎたグローバル化に対して歯止めがきかないと世界中で懸念が出ている。
イギリスもトランプ氏のことも行き過ぎた資本主義、競争社会に対する反発が出ている。世界中で大きな転機ではないでしょうか。
北神
うまく乗り切らないと行き過ぎたグローバリズムも、一国主義もダメです。日本は、食糧自給率もエネルギー自給率も低い。自力でエネルギーを作ること、農業・防衛も考えながら、外交の面では引っ込み思案になると損をするということを、日本は訴えていかないといけない。戦前のブロック経済のようなことになりかねないです。アメリカもヨーロッパも自分たちさえよければいいという風潮になっている。そうなると日本が外される恐れがある。
一方で、中国といっしょになると彼らの安全基準は、アメリカよりもひどい。アメリカや東南アジアと組んで、ある程度常識的な基準で中国と交渉するという発想もTPPの背後にはありました。
岡本
安倍首相は民進党の政策をとって「同一価値労働同一賃金」といっていますが、単に労働力や経済力として女性を見るのではなく、権利としてちゃんと男女が同じように活躍できる環境をつくることが重要です。人間として、女性も生涯したいことを追求できる、仕事もできるという世の中しなければならない。
北神
結論は同じに見えても、発想の入り口が違います。具体的な法律とか政策に違いが出てきます。個々の企業のこともわからずに、総理自ら陣頭指揮をとって賃金を上げろといっている。円安で物価が上がると消費が減るのに。労働者だけでなく、経営者にとっても迷惑な話だと思います。
高橋
賃金を上げた中小企業にはその分、税控除をしています。
北神
ちゃんと安全弁を設けていますが、それでも中小企業は苦しいといっています。経済産業省の委員会で、雇いたくても雇えなくなると中小企業は困っています。最低賃金は、実態のわかっている人たちで慎重に責任感をもち決めないといけない。
岡本
賃金などは労働組合があれば労使で決めますが、ないところにも影響がある。だから安倍政権の支持率が非常に高い。
北神
民主党の失敗が根底にあって他に支持できるところがないというのが背後にもあるのではないでしょうか。
さらに、もっと積極的な理由もあって、一つは昔の戦前に戻るのではないかという不安、もう一つは今までどおりやっていたら中国、北朝鮮に飲み込まれるのではないか。この不安に安倍総理は応えていると感じている人がいる。民進党も安倍政権のでたらめなところは指摘しながら、みんなの不安に直接応えていかないと難しいと思います。
岡本
一つの対抗軸として「人への投資」というのがよかった。
北神
今でも「人への投資」というのが生きています。将来の教育や子育てなど、そこに投資していかないと国力がどんどん落ち、全体の経済も落ちる。ここを上げて経済成長に結びつけることです。そこをもっと力強く訴えていく必要があると思います。
自民党の憲法改正草案の危険性
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岡本
一去年、政府は4月の武器輸出から始まって集団的自衛権、最後に安保法制強行採決。昨年は憲法改正に積極的な発言が増しました。北神さんは憲法審査会委員で、審査会も参加されていますが。
北神
10年前には憲法調査会に入っていました。あの時と雰囲気がずいぶん変わっています。個人が「こう考える」というところだったのが、今は政党色が強くなっています。
高橋
自民党の中のリベラル派、ハト派という人が憲法審査会で発言をしないのですか。
北神
自分の意見というよりは政党の意見をいわざるをえない状況です。これは憲法審査会だけではなく、小選挙区制の影響もあります。
極端にいえば小泉純一郎や安倍晋三が「お前、俺の憲法改正案に反対なら公認は違う人にする」となるので、イエスマンばかりです。一強多弱で極端な政治が行われていく。小選挙区制では野党を強くしなければならない。
高橋
選挙制度と支持率の二つがあるから、だから逆らえない。
北神
そういうことです。民主党は個々にバラバラになって政権から転落した。権力への執着が足りなかった。権力をとって初めてものごとを動かせる。このありがたみを軽く思ったのです。
これからの日本を京都をどうすべきか
岡本
観光も含めて北陸新幹線は影響がありますか。
北神
亀岡に通してほしいという地元の強い要望があり、取り組んでいたのですが、残念な結果になりました。
高橋
リニアも厳しいですね。地元の観光でいえばどうですか。
北神
地元要請もあり、JR東海の葛西名誉会長にも何回もお願いをしました。彼は「30年前、法律をつくる時に京都が関心を示さなかった」といっていました。
他県が一生懸命要望してギリギリ決まりかけている段階で、後出しジャンをしている。東京で集会があっても京都の議員は自民党を含めてほとんどいない。福井県とか奈良県とか全員出てきています。役所は理屈も財政も大事だけど、何回足を運んできたかという熱心さで動きます。最初からもっと京都はがんばらないといけません。
観光面では霧を逆手にとって、竹田城まで行かなくても亀岡にある竜ヶ尾山から雲海がきれいに見えます。これを売りにしたい。
高橋
政策実現、選挙に望む決意をお願いします。
北神
活動の質を変え、集会を中心に組織強化と拡大を行っていく。自治労協力議員として、格差問題に取り組みたい。
今までは、経済成長が格差より優先されたのですが、実は格差を解消しないと経済成長にはならない。人への投資や若い人の社会保障を強く訴えていきたい。
もう一つは、官民データー活用推進基本法案です。自治体ができるだけ紙を使わずITで行う法案を超党派で通しました。
あいはら参議院議員と自治労の意見交換をして、自治体の立場も理解しているつもりです。小さい規模の自治体は、ITで計画を作成しようにも人材も財政的に厳しい状況で、その意向は条文を修正して法案に盛り込みました。手続きや人員の問題など国は理解していない。自治体の現場の声を反映し、頑張っていきたいと思います。
高橋
来たるべき解散総選挙では、政策協力議員の北神さんや推薦候補者の勝利に向けて支援し、たたかいたいと思います。ともにがんばりましょう。ありがとうございました。

 

干支 丁酉(ひのととり)

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十干と十二支を組み合わせた暦の単位の一つ。60年周期で、古くから中国で日や方角を表すために使われていた。2017年は丁酉、改革の年ともいわれている。また60年前は初めて日本で核分裂が「臨界」に達し原子力の火が灯った。これからは消火の道をたどらなければならない。

トリ(鶏)のことわざ

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鶏口となるも牛後となるなかれ

大きな集団の一員となって人の後につくより、たとえ小さな集団であっても長に立つほうがよい。人の後につき従うだけの安易な場所にいてはいけないという教え。鶏口牛後も同じ意味。

鶏群(けいぐん)の一鶴(いっかく)

鶏の群れに一羽だけ鶴がまじっていることから転じて、多くの凡人の中に、一人だけ抜きん出てすぐれた人が混じっていてひときわ目立つことのたとえ。

一鶏鳴けば万鶏歌う

一羽の鶏が鳴き出すと多くの鶏が鳴く。一人がいい加減なことを言い出すとそれにつられて多くの人が同調し、その意見が世間に広まること。

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