2018年10月15日号(第778号)

労働組合の原点回帰し、組織の強化・拡大を

府本部第83回定期大会

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府本部は9月29日、第83回定期大会を京都市中京区のウィングス京都で開催した。
2019年度運動方針と当面の闘争方針などの議案が提案されすべての議案は原案どおり可決された。出席代議員は27単組から116人、女性参画率は26・72%となった。

大会は午後1時に開会。冒頭、国保労組の磯部代議員と城南衛管労組の窪田代議員を議長に選出した。開会にあたり、高橋執行委員長が主催者を代表してあいさつ。仙葉中央本部副委員長、門川京都市長、他6人の来賓から連帯のあいさつを受けた。

議長による大会成立宣言のあと、執行部より2018年度諸報告が行われた。一般経過報告、会計決算報告、会計監査報告はすべて承認された。

続いて、@2019年度運動方針案、A一般会計・特別会計予算案、B当面の闘争方針案、C委嘱する監査法人の承認案が執行部より提案され、質疑討論・採決を経て、全議案は原案どおり可決された。会場からの発言は、社会保障制度改革や労働契約法を活用した組織強化、政治闘争などに関する質問や意見が出された。

次に、草川女性部長が「大会宣言案」を提案。賃金労働条件改善と定年延長の実現や、会計年度任用職員制度の構築、反戦・平和・脱原発等の取り組み前進のために組織の強化・拡大が重要との内容を全員の拍手で採択した。

最後に林副執行委員長の発声による「団結ガンバロー」で大会を締めくくった。

岸まきこさんの必勝、会計年度任用職員制度確立などの取り組みを確認

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労働組合のピンチをチャンスに

★委員長あいさつ 執行委員長 高橋 直樹

大阪府北部地震や西日本豪雨、台風21号などで被災された皆様へのお見舞と復旧・復興に携わる組合員の皆様に敬意を表するとともに、ご臨席いただいた来賓の皆様にお礼を申し上げます。

今年は明治維新から150年。当時の京都の人々は、都が東京に移転するというピンチをチャンスに変えるため、全国初の学区制小学校の創設、琵琶湖疎水や水力発電の建設など先進的な取り組みを進め、今日の京都をつくりました。年々組織率が低下し、担い手が減少している労働組合でも、ピンチをチャンスに変えるべく、強い信念と新しい発想を持った取り組みが求められています。府本部は2020年3月に再建30周年を迎えます。皆様の英知を結集し、組織の強化・拡大に向け各職場での最大限の取り組みをお願いします。

また、第一次世界大戦が終結しヴェルサイユ条約締結から100年を迎えます。有名なフィラデルフィア宣言に謳われた「労働は商品ではない」という一説に加え、「同一価値労働に対する男女同一賃金」という、今に通じる労働者保護の基本原則が記載されていました。しかし100年経った今も、私たちの職場を見渡せば、同一価値労働同一賃金が実現されているとは言い難い現実があるのではないでしょうか。自治労は今年の定期大会で、非正規労働者の処遇改善と組織化の推進に向けすべての単組が「統一対応」として取り組みを行うよう提起しました。2020年4月の会計年度任用職員制度施行に向け、同じ職場で働く臨時・非常勤の皆さんの処遇改善に向けた取り組みを、今年の確定闘争で前進させなければなりません。交渉を進めていく中で出てくる財政面や職場実態との乖離などの課題について、当事者の皆さんの声に耳を傾け、解決の糸口を見つけ出していくことが重要です。

次に、地公法・地方自治法の改正や人事院勧告など、私たちの労働条件をはじめ、皆さんの各職場の業務は、法律や国の制度の影響を大きく受けます。現場の声を国政に届け、私たちの思いを実現するためには、来年7月の参議院選挙比例代表で、自治労の代表として「岸まきこ」さんを送りだすことが重要です。府本部としても、各単組の取り組みをお願いするとともに、来年4月の統一自治体選挙での組織内をはじめとする推薦候補全員の勝利をめざして、取り組みを進めます。
最後に、様々な課題の解決に向けたご理解とご協力、そして熱心なご議論をお願いして、執行部を代表してのご挨拶とさせていただきます。

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2018確定闘争・会計年度任用職員制度など当面の闘争方針を確認

第3号議案「当面の闘争方針案」では、2018賃金確定闘争や会計年度任用職員制度の確立、現業・公企統一闘争、組織の強化・拡大など当面する課題について確認した。

賃金確定闘争

人事院は、8月10日5年連続の月例給と一時金の引き上げ等の勧告と定年の段階的な引き上げの意見申し出をおこなったが、勧告が出れば自動的に自治体の賃金・労働条件が決まるわけではない。国会で給与法改正案が可決され、自治体議会が給与条例改正案を可決してはじめて確定する。このため、中央本部は総務省交渉や国会対策、府本部は京都府や人事委員会対策を行っている。各自治体では、各単組が要求・交渉し、それぞれの議会前の合意が重要となる。自治労の掲げる確定闘争の取り組みの柱は8項目(別表)。各単組は組合員の声を集め、統一要求に各単組の独自課題を加え、要求書の提出、交渉配置をお願いしたい。府本部の闘争指標や具体的な日程、戦術など2018自治体賃金確定闘争推進会議(10月24日市内・南部/11月1日北部)で確認する。

会計年度任用職員制度

会計年度任用職員の具体的制度合意をめざして、2018確定闘争において産別統一闘争として、すべての自治体単組で統一的に制度協議を進める。制度構築にあたっては、現在の劣悪な労働条件の解消に向けた統一的な底上げが必要なため、すべての自治体単組は、制度に関する要求書モデルを参考に要求書を提出し、交渉を行う。低位平準化を避けるため、本部の示す妥結基準を基本に、妥結にあたっては府本部との事前協議を前提とする。

また、当事者である臨時・非常勤等職員とともに労働条件について交渉することが重要となる。すべての自治体単組で臨時・非常勤等職員の組織化を進め、会計年度任用職員制度確立に向け統一闘争の取り組みを進めよう。

自治労・確定闘争取り組みの柱

  1. 月例給の水準を引き上げること。
  2. 現給保障については、給与制度の総合的見直し終了後も、引き続き継続すること。また、現給保障の解消に伴う原資の配分を確保すること。
  3. 一時金の支給月数を引き上げること。
  4. 諸手当を改善すること。
  5. 常勤職員の給料表改定率・一時金引き上げ月数にあわせ、臨時・非常勤等職員の賃金を改善すること。
  6. 定年を引き上げることとし、地方の実情に応じ適切に対応すること。
  7. 36協定締結義務職場での確実な締結、締結義務のないすべての職場での準じた協定締結や勤務時間の把握など、長時間労働の是正をはかること。
  8. 人事評価結果の賃金への反映については、労使合意を大前提に、賃金に差をつけることを目的としないこと。

女性も男性も幸せになるために 人材育成、組織強化を目的に

府本部組織集会

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各単組で抱える共通の課題への対策や人材育成など、各単組の組織強化・拡大を推進する目的で、2年に一度開催している府本部組織集会。今年度は9月15日に京都商工会議所で開催した。12単組から45人が参加し、労働組合の意義や必要性を学習した。

全体会

全体会は、詩人で社会学者の水無田気流さんを講師に「新しい時代の幸福論」と題した講演を受けた。水無田さんは「女性活躍というが、女性が社会で活躍するにはあまりに時間がない」と指摘。総務省の調査で共働き世帯数は増えているが「常勤で働く妻の3分の2は家事の8割以上を担う。先進国で最も働きバチなのは日本のワーキングマザーだ」と述べ、「女性は既に充分活躍している。問題は様々な意思決定の場に女性がいないこと。女性の声を反映させる必要がある」と強調した。反対に「男性は地域や社会に居場所がなく社会的孤立に陥りやすい。自殺、孤独死、引きこもりの7割は男性というデータもある」と深刻な状況を紹介した。

では、女性も男性も共に幸せになるためにはどうすればいいのか。「女性を企業のメンバーに、男性を家庭や社会のメンバーにすること」とし、全方位的な雇用環境の改善と、男女問わず総合的な働き方・暮らし方の見直しが必要だとまとめた。

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分科会

午後からは、「賃金・財政」と「仲間づくり」の2つの分科会を開催した。賃金・財政の分科会Aでは、増田知也摂南大学講師から「自治体財政分析ソフトの活用法」、森本正宏自治労総合労働局長から「2018人勧から確定闘争を見据えて」と題した講演を受けた。確定闘争を前に、各自治体における課題の発見と交渉材料の引き出し、具体的な賃金闘争について学んだ。

仲間づくりをテーマにした分科会Bでは、池田敏幸枚方市職書記長から「共済を活用した組織強化の取り組み」と、北川啓子本部オルグから「非正規仲間づくりと会計年度任用職員制度」について学習した。池田書記長は「組合は組合員に何ができるのかと自問し結果、共済事業に行き着いた。組合員しか加入できない安心・安全な自治労共済を活用して新規採用者の組織化に全力を注ぐことが重要だ」と話し「何度か断られても非組合員を作らないために勧誘を」と強調した。

府本部は、今後も組織の強化・拡大に向け取り組みを進める。

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