2009年1月1日号(第590号)

格差のない、誰もが安心して働ける社会もとめて

府本部執行委員長 新年あいさつ

自治労京都府本部 執行委員長  橋元 信一

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新年明けましておめでとうございます。昨年9月27日の第72回定期大会で、前木村委員長の跡を継ぎ、4代目京都府本部委員長に就任いたしました、橋元信一です。年頭にあたりまして組合員の皆様にごあいさつ申し上げます。

国政では、小泉元総理の後、安倍・福田両元総理が政権途中で投げ出し、元小泉政権が残した規制緩和の実態が格差を大きくし、労働者に対して厳しい生活を押しつけ、非正規労働者を作り出しています。ある企業では社員の半分が非正規社員で、全国的には男性非正規職員45%・女性非正規職員55%を占めるまでになっています。このことは、いかに企業が利益主義の経営を進め、国民の生活水準を下げているかの、ひとつの動かぬ証拠です。

そういった中、アメリカのサブプライム・ローンを発端とする金融不振・株価の暴落・物価高騰が各国に大きく影響しています。貿易を中心とした私たちの国についても、企業が生き残るために、労働者への負担が当然であるかのように押しつけてきています。正規職員の賃金カットをはじめ、法律をたてに非正規職員の契約解除をおこなう社会を作り出した事に対して、政府は対応を速やかに行わなければなりません。

麻生政権が実施しようとしている「定額給付金対策」2兆円についての財源も緊急な対策が必要です。この施策は、最終的には赤字対策でしかなく、地方に色々な方向で負担、迷惑を掛けているだけです。たんなる目先の景気対策で、政府与党の支持率を上げる目的対策にしかなってない、と国民はすでに見抜いています。社会保障の安定財源・地方自治体が安心して公共サービスを行うための財政再建を行うためにも、衆議院の解散・総選挙を一刻も早く行なって、国民の審判を受けるべきであると考えます。

格差のない、誰もが安心して働ける社会を目指すために、政権交代を実現しなければなりません。自治労京都府本部は、いつ行われるか分からない解散・総選挙に向け、態勢づくりを進めています。

組合員が安心して働ける職場作りを目指すために、組合員の皆様が、府本部への結集を一層強めていただき、様々な活動に積極的にご参加いただきますようお願いして、年頭のごあいさつと致します。

伝えたい、現場の真面目な頑張りを

「安全・安心の社会」、担うのは私たち。元気に、上を向いて、住民との信頼関係を

2009年新年特集

2009新年号特集では、私たち自治労京都府本部の仲間の、奮闘している姿を伝える。公共サービス最前線のガンバリ、仕事へのプライド、そして、仲間たちがなにより大切にしている住民との信頼を追った。この思いは全ての組合員が共感できるもの。みんなの元気をこの特集で、さらに呼び起こしていきたい。

私たちが担う「公共サービス」の現場。新しい年を迎えても相変わらず、政治によるマスコミ誘導は止まることなく、「公務員バッシング」「自治労バッシング」が続くと考えられる。その内容は、公平性より趣向を優先し、視聴者の関心をあおろうとするものだ。

その結果、公共職場にはたらくものの雇用・労働条件の切り下げにとどまらず、市民生活に直結するサービスの切り下げにまで影響が及んでいる。

しかし、自治体に働く職員は、地域住民と公共福祉のために骨身を惜しまず、日夜努力を続けていることは、私たちがもっともよく知っている。真面目に奮闘している職員の、仕事に対する誇りとガンバリが、地域の公共サービスを支えている。なにより、心から住民福祉の向上を願っているのだ。

私たち自治労は、今年も「市民との協働」をテーマとして運動を続ける。自治体改革を進め、「公共サービス」への信頼をさらに高め、地域住民と目的を共有し、運動への深い理解を獲得し、奮闘していこう。

子どもが好き、だけでは続かない

「法のはざま」の低賃金。でも、安全・安心が私たちのプライド

宇治学保労組 井伊公惠さん

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宇治市平盛育成学級は、国道24号線「大久保バイパス」大久保跨線橋近くの市立平盛小内にある。プレハブの学級で、元気で明るい井伊公惠さんにお話をうかがった。

「仕事のプライドですか?なにより、子どもたちの放課後の安全を自分たちが確保しているという自信ですね」。事故などトラブルにも気をつかうし、自分の身体的にもきつい。保護者との対応も大事な仕事だ。「事務もスポーツもなんでもこなさなければならない割には、お給料が安いんです」。

井伊さんは、組合のありがたみをいつも感じる、と言う。「学級に応じた問題点を組合員がお互いで共有しあい、市当局と交渉。柔軟な対応をいただき、基準を超える職員配置が実現し、よい保育の結果が出てきています」。厳しい現状に対し、下向きにならず、自分たちの団結と工夫で状況を変えようとするパワーが、仕事に元気さをもたらしている。

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「私たち指導員の身分は、非常勤職員です。部分的に改善しましたが、定期昇給はありません。誰もが先行き不安を感じ、責任の重さもあって、離職する仲間も多い。プライドがあればこそ、組合として改善を求めて交渉しています」。保育の質を高めるための自主的な研修会なども熱心に開いている。「課題は多いですが、子どもが好きだけではできない仕事です」と笑顔の中にも真剣なまなざしが返ってきた。

「家族揃ってのテニスで思いっきり気分転換、発散してます」。なるほど、元気は自分で作りだす。この元気が、公共サービスの現場を支えていることを実感した。

【プロフィール】
宇治学保労組で書記次長をつとめて3年め。指導員歴9年。指導員となる前に、幼稚園教諭5年の経験がある。趣味は、テニスの他に「沖縄民謡と三線演奏」。大きな声で歌うとスッキリするとか。

住民の励ましのことばが支え

毎日、午後7時まで仕事。土・日も仕事です

木津川市職 駒野弘子さん

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 「便利になりましたね、と利用者に言っていただくのが一番うれしい」…インタビューでの最初の一言。木津川市西部出張所に、駒野弘子さんを訪ねた。

この出張所は、大規模店舗「イオン高の原ショッピングセンター」の中にある。窓口は午前10時から午後7時まで、そして土曜・日曜も開いている。戸籍・住民票・印鑑証明などの交付や取次ぎに関する業務に限られているが、それでも「仕事帰りや、買物のついでに立ち寄ることができる気軽さ」で利用できる、と好評だ。

しかし、そこに働く者の立場から見れば、いいことずくめではないはず。仕事の上での大変さ、つらさを伺った。「毎日、午後7時までの勤務は、身体的にきついことは確か。土・日も勤務。家族と、食事の時間や休日がずれてしまいます」。一方、時おり、厳しい苦情を受けることも。「気分的に落ち込むこともありますが、ご理解いただいた時は本当にうれしい」。

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労働組合への期待を聞いた。「勤務時間帯のこともあり、いつも生活はバタバタです。厳しい職場状況のなかで、誰もが本当のゆとりを求めているのでは?それは私たちだけでなく、住民の皆さんも同じ思い。組合が社会全体を変えていく活動が必要ですね」。

「窓口で直接出会う住民の皆さん。いろいろな問題を抱えながら、誰もが前向きに生きておられます。最前線で元気な生き方を感じながら仕事をする。それが今の私のエネルギー、生きる勇気になっています」。きついことがあってもがんばれる、と駒野さん。笑顔で見送られて、出張所を後にした。

【プロフィール】
職歴・組合歴とも35年。現在、課長補佐。昨年5月、西部出張所が現在地に移転して以来、1年半にわたり利用者の利便・取り扱い件数の増加のために奮闘してきた。

「いいと信じて、やり続けるだけ」

仕事の気づきを住民サービスへ

八幡市職労 堤成利さん

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現業の仕事のつらさは言うまでもない。しかし、現場ならではの気づきを活かし、職場・当局・地域を変え、元気にごみ収集の仕事を進めている仲間がいると聞いて、八幡市環境事務所を訪ねた。

はにかんで迎えてくれたのは、市職労環境事務所分会長の堤成利さん。さまざまな市民サービスの実践を進める立場だ。

「同じ班の先輩が、いろいろ気づいて、市民サービスとして何をするか提案してくれるんです」。

組合から提案して、市全体の取り組みと位置づけることができた「カラスよけネットの収納」。さらに、市内各所への自作の吸い殻入れの設置。現在試行中だが、自作の「水まき装置」をパッカー車に装備し、収集後の集積場所を洗っていくという。さまざまなアイデアが実現している。

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「これまでは、すれば喜ばれることを知っていても、しなかったり、決まりで出来なかったり。それを自発的に仕事として進めることで、当局を変え、もちろん自分たちも変わりました」。事実、環境事務所には市民からの激励や感謝の電話や手紙が相次ぎ、さらに現場でも好意的に協力を申し出る市民と信頼関係ができた。このサービスで得られたのは、何より職員のヤル気だと言う。

「いつもありがとう、と言われるだけで、元気が出ます」。

八幡市職労は、昨年9月に現評を結成。直営を堅持してきた現場の知恵は、これからも、運動に活かされていく。どのような課題に立ち向かう時も、さまざまなサービスの実践で得た市民との信頼関係と自信で、自分たちの意見を通していきたい、と堤さんは言う。「サービスの効き目が見えてこなくて、めげそうになる時もあります。でも、ええことやと信じてますし、続けていきます」と言い切った。

市民との信頼関係は、なによりも大きな宝だ。分会の仲間の、今後の活躍を心から祈った。

【プロフィール】
39歳。ごみ収集の現場で10年。さまざまな市民サービスの試行的役割を担うパッカー車「16号車」に乗り、担当する橋本地区で奮闘中。

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