2010年8月15日号(第627号)

生かそう”現場力”

職場からの公共サービスの改革を 2010京都自治研集会

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府本部・京都自治総研は7月30日、メルパルク京都で「2010京都自治研集会」を開催した。会場には組合員をはじめ、議員や自治労未加盟の自治体職員など140人が参加。全体会での基調講演や、多数の活動レポートをもとにした分科会で学習と交流をはかった。

今回の集会のテーマは「“現場力”を生かした職場からの公共サービスの再生・改革」。午後3時に開会した全体会では、橋元委員長による主催者あいさつのあと、山田副委員長の基調提案、メイン講演とパネルディスカッションをおこなった。

メイン講演では労働政策研究・研修機構労使関係統括研究員の濱口桂一郎さんから、「日本型雇用システムにおける非正規労働とセーフティネット」と題した講演をいただいた。これまで、よいと思われてきた日本型雇用システムでは、雇用を保障された正社員は拘束が多く過重労働に悩む一方で、非正規労働者は雇用が不安定で賃金が極めて低いという、いわゆる労働力の二極化が問題となってきた。その解決策として、両者の中間的な雇用形態である「ジョブ型正社員」を提起。その上で社会構造の変化に対応したセーフティネットの必要性を訴えた。

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続いて行われた、パネルディスカッションでは、格差・貧困社会における自治体の「現場力」をテーマに意見交換。舟木浩弁護士はホームレスの支援には公的サービスをさらに充実させ、市民の理解を得るために自治体の発信力の強化を提起。藤喬ライフサポートセンター事務局長は、多重債務で苦しむ人は減りつつあるが、まだ苦しんでいる人は多い。自治体内のネットワークを強化し、多重債務のない地域づくりをと訴えた。

また、谷口富士夫書記長は、府内自治体の非正規雇用者の実態をもとに、労働組合として官製ワーキングプアの問題に取り組み必要性を、府労政課に勤務する森健一さんは、京都府が取り組む先進的な労働行政を紹介した。最後に、澤井教授から、正規労働者であっても、同じ職場で働く非正規労働者と共感することが、人間として心の解放につながるという指摘を受けて終了した。

分科会討論

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午後6時からは5つの分科会でレポート報告が行われた。提出されたレポートは全部で35本。地域や職場で取り組んだ貴重な経験や情報を、参加者同士が共有した。なかでも第3分科会「人をはぐくむ教育をめざして」では、八幡市職労の桂智美さんと大野久臣さんが「給食室から発信する食育の取り組み」と題して、食育に関する様々な工夫や成果を、映像と手作りの資料を用いながら発表し、注目を集めた。

なお、分科会ごとに5本の京都自治研賞を選出。受賞レポートの発表者は11月に名古屋で開かれる全国自治研に招待される。京都自治研賞の受賞は下記の通り。

  • 京都市職経済支部(廣澤・真下・仙波さん)
  • 埋文研労組(加納・津々池さん)
  • 八幡市職労(桂・大野さん)
  • NPO法人あったかサポート(杉原さん)
  • 京田辺市職(中捨さん)

新しい仲間に

亀岡市水道職員労働組合

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府本部は7月29日付の持ち回り執行委員会において、亀岡市水道職員労働組合の自治労加盟を承認した。これにより府本部加盟組合数は37単組となった。

亀岡市の上・下水道職場で働く職員で構成する亀岡市水道職員労働組合(河原浩一執行委員長)は7月28日に開いた臨時大会で自治労加盟を機関決定した。組織人員は32名。組合結成は1980年9月。

公務員制度改革やそれに伴う労働環境の変化への対応、市民に対してより質の高い公共サービスを提供し、信頼される公営企業をめざすとともに、組合員が安心して働ける職場づくりを構築するため上部団体への加盟を決めた。

核の傘からの離脱を

原水禁世界大会(広島・長崎)に府本部から参加

熱線と爆風、放射線により一瞬にして多くの命を奪った原子爆弾が広島・長崎に投下され今年で65年を迎えた。今もなお、多くの被爆者が放射能障害に苦しみ、核兵器は世界に約21000発も存在している。府本部は京都平和フォーラムに結集し広島・長崎の原水禁世界大会にあわせて10名が参加した。

広島大会 8月4日〜6日

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8月4日、折鶴平和行進のあと行われた核兵器廃絶2010ヒロシマ大会では、葉佐井博巳さんという被爆者から訴えを聞いた。原爆が落ちた日の体験や、翌日の地獄絵図のような広島市内の様子を鮮明に語った。

5日は、分科会「見て聞いて学ぼう、ヒロシマ」に参加。入門編のこの分科会は、若い世代に原爆の恐ろしさを伝え、継承していくため開かれ、被爆者から体験談の後、川野浩一原水禁議長から「核兵器廃絶のために」と題した講演を受けた。

6日は、平和記念式典に参列。犠牲者の追悼と、世界平和への祈りをささげる中、秋葉忠利広島市長は平和宣言で日本政府に対し、非核三原則の法制化や「核の傘」からの離脱を強く求め、潘基文国連事務総長は「被爆者の方々が生きている間に核兵器廃絶を実現しよう」と訴えた。

唯一の被爆国である日本が果たす役割は大きい。世界的な核軍縮の高まりのなか、人類が生き残るため核兵器の廃絶と、戦争の一掃を訴える必要がある。NHKのアンケート調査で約25%しか原爆が投下された「日」を知らない現実がある。先の葉佐井さんは「被爆者の平均寿命は76歳を超えた。体験は継承できないが、被爆者の声や、資料館や広島の町で原爆の実情に触れたことを、職場や家族、地域に広めてほしい」と訴えた。

核も戦争もない21世紀を子どもたちに。府本部は今後も積極的に平和運動に参加していく。

長崎大会 8月7日〜9日

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8月7日、午後3時30分から長崎大会が始まった。天候は、7,8日は大変な猛暑で、9日は小雨であった。京都府本部からは、女性部の代表3名を含め4名が参加した。前日の6日には、広島大会から引き続いて潘基文国連事務総長が長崎を訪問し、爆心地中心で献花のあと演説を行った。

7日の「2010平和ナガサキ大会」には全員が参加した。各代表からの挨拶は、昨年4月のオバマ米国大統領のプラハ演説と、アメリカやフランスなどが始めて広島の祈念式に参加したことで、核廃絶に向けた期待感の膨らんだものとなった。そして、地元の親子100人で行われた歌と朗読で物語を構成した「親子でつづる平和の願い」は、大変熱のこもったものだった。熱心な出迎えを受けた。

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8日は、分科会とフィールドワークに別れて参加。9日は、午前8時から京都平和フォーラム参加者全員で長崎大学近くの家野町公民館の慰霊碑に墓参し、献花を行った。家野町の公民館では、原爆落下当時8歳であった男性の語り部から体験を聞かせてもらった。たくさんの説明写真を準備していただき、原爆投下直後の様子や、救助活動、特に負傷者を医療機関へ搬送するための一番列車がやっと来た時の様子など、参加者にその当時がイメージしやすいように話していただいた。また、被爆者の女性からは、手作りの蒸しまんじゅうを頂いた。この公民館には、京都以外にも石川県からの参加もあり、ともに交流をおこなった。

その後、まとめ集会に向かう途中で、昨日の分科会などの情報交換を行い、学習を深めた。まとめ集会では、核被害の根絶と、暴力と殺戮が繰り返される世界を変える取り組みが宣言された。まとめ集会終了後は、爆心地公園まで全員でデモ行進し、「原爆中心碑」前で、午前11時2分、全員で黙祷をおこなった。

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