2017年7月15日号(第756号)

同時進行 労働委員会・地裁闘争へ

組合員の権利と生活を守る闘い

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競輪事業

向日市にある向日町競輪場は1950年11月25日に自転車競技法に基づき建てられた京都府の施設である。競輪運営には、窓口での車券の販売、払戻、両替、現金管理などが必要だが、その業務を担ってきたのが「臨時従事員」と呼ばれる人たちだ。

従事員は京都府に採用され、今年3月31日まで非正規労働者として働いてきた。4月1日からは業務が日本写真判定(株)に包括民間委託され、契約社員として働くことになった。

つまり、京都府の都合により全員がいったん解雇され、民間企業に再就職したのだ。

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離職餞別金と年末一時金

従事員で結成した「京都競輪労組」は現在43人の組合員が加入している。雇用主・施行者であった京都府自転車競技事務所とは、労働協約の締結や組合事務所の貸与など長年にわたり良好な労使関係を築いてきた。

しかし、昨年7月の鳴門競艇の最高裁判決がその状況を一変させた。京都府は労働協約を締結している責任はあるが、3月末の離職餞別金は支払うことができないとし、また毎年支払ってきた年末一時金も支払わないと文書で通告した。法律的な問題なので、弁護士をたてて解決したいと労使交渉を拒んだのである。

弁護士vs弁護士

これまで何度も団体交渉で確認してきた内容であり、全額が支払いされるものと考え、府本部と協力して組合側弁護士に委任し京都府側弁護士と1月20日に会談をすることになった。

その会談の席で府側弁護士から語られた言葉は、これまでの労使交渉を全く白紙にする内容だった。「条例がない中で退職金に該当するものは払えない。協約も違法なものである。できるとすれば第三者機関による調停。その金額は想定していない。」

府労働員会へ申立

府本部と京競労は弁護士と相談を重ね、なぜ条例化できないのか、なぜ労働協約を無視するのかを追求するために2月23日に府労働委員会に「あっせん申請」を行った。

結果は、合意点を見いだせず打ち切り。京都府は労組の主張を否定したうえで新たに「本場開催だけが府の雇用であり、年間50日程度。常用雇用とはならないため、条例化はできない」との文書を示した。

矛盾だらけの雇用関係

従事員の多くは年間200日以上、向日町競輪場に勤務している。本場開催だけでなく他場開催時にも窓口で来客者の対応をしている。就労は開催日数が少なかった過去の状況から日々雇用という形式がとられてきた。

ところが近年は、他場販売を含めて常勤と同様の実態がある。厚生労働省は1990年に雇用保険の取り扱いで「実質的に長期勤続を前提とした労働条件で雇用されると認められることから通常の労働者に該当すると考えられる」との見解を示した。さらに、昨年には雇用保険の取り扱いについて週20時間以上の者に適用するよう通知した。

日々雇用という名で何年も継続して労働についている実態があり、また場外発売の場合も業務内容・労働条件は一切変わらない。社会保険に加入したにも関わらず、その実態を無視して場外は雇用していないと言い切る京都府の考え方は矛盾だらけだ。

権利と生活を守る闘い

府本部・京競労は「あっせん」の不調で7月5日に府労働委員会に、新たに不誠実な労使交渉をしたとして、「不当労働行為の救済申し立て」を行った。

これは、労使関係は維持されているという労働委員の見解を参考にしている。また、同時に京都地方裁判所に労働協約違反および損害賠償請求で提訴することも決めた。

闘争態勢は自治労中央本部の顧問弁護士も加わり、3人の弁護団を擁する体制と強化した。

組合員の権利と生活を守るためにも、府本部・京競労は全力で闘いぬく。

構成単組や各専門部評議会のみなさんには、労働委員会と地方裁判所の同時並行となるこの闘争への強力な支援と協力をお願いしたい。

「ワーク・ライフ・バランス」社会の実現を

産別闘争 男女平等社会の実現を求める

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府本部は6月30日、男女平等推進闘争として5月17日、提出をした「男女平等社会実現を求める要求書」について京都府男女共同参画課と交渉に臨んだ。

まず、府男女共同参画監から全体的な取り組みの説明があった。続いて「女性活躍推進法」に基づく企業の事業主行動計画の策定支援として昨年、経済団体等と行政による女性活躍支援拠点の「京都ウィメンズベース」が設置され、計画の実現や推進を重点的に支援することなどの回答があった。

これに対して府本部は、地方議会へのワーク・ライフ・バランスの決議推進や市町村への情報提供、男性の育児休業取得やLGBTに関して特に配慮した内容とするなど、差別問題への更なる取り組みを府に要請した。

府は来月からLGBTやヘイトスピーチなど重点的に受け付ける特設法律相談を開設すると回答した。府本部は、目指す方向は同じであり歩みを止めず、さらに積極的な対応を求めた。

自分の賃金、自分で計算

府本部町村職評

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府本部町村評議会は6月24日、メルパルク京都で「賃金権利セミナー」を開催した。4月に採用された新入組合員を中心に、4単組19人が参加した。

冒頭、坂井議長が「私たち地方公務員の給料は日本の経済状況等に左右される。この春、夢や希望を抱いて就職された皆さんは、『自分たちの仕事は地域住民の生活を支える大切な役割』という誇りと自信を持って業務を担うとともに、労働の対価としての賃金について、しっかり学習してほしい」とあいさつを述べた。

来賓として高橋府本部委員長から激励のあいさつを受けた。その後、井手町職の横田雄大書記次長を講師に迎え「自分の賃金、自分で計算」と題した講演では、地方公務員の給与制度や算出方法などの説明を受けた。参加者は、給料明細を元に期末勤勉手当の支給額を計算し、実践を交えながら賃金の仕組みを学んだ。

次に、全労済自治労共済府支部の乾眞治事務局長から「賢いライフプラン」と題した講演を受けた。参加者は、出ていくお金を減らして可処分所得を増やす内容に熱心に耳を傾けた。

学童保育で大切にしたいこと

 

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府本部は6月25日、第13回学童保育・児童館職員・保育士集会を宇治市内で開催、4単組65人が参加した。

「学童保育で大切にしたいこと」と題した、たかつかさ児童館(京都市北区)の唐沢三代子館長の講演では、子ども、保護者、地域、学校、職員間、それぞれの関係で大切にしたいことを経験に基づき適格にアドバイスされた。子どもが「また明日も来るしな!」と言って帰れるにはどんな努力をすればよいのか、大切にすることは何かを参加者で考えた。次に事例検討を行い一つの事象を掘り下げてグループで話し合い課題を共有し合った。

続いて「臨時・非常勤職員の雇用安定・処遇改善・仲間づくりをめざす!地方公務員法・地方自治法の一部改正を踏まえた取り組み強化」について、組織拡大局長の野角裕美子さんから提起を受けた。

自治労が長年運動した結果、総務省が「新たな任用は会計年度任用職員とし、給料および各種手当を支給対象として給与水準も継続的に改善できるようにする」と公表した。野角局長は、「2020年4月から任用替えになる会計年度任用職員の処遇は自治体の条例で決まるため、仲間を増やして雇用安定、処遇改善に取り組んでいかなければならない」と訴えた。

全国の仲間と交流し学ぶ

女性部労働学校

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6月24日から25日、自治労女性部が女性労働学校(後期)を自治労会館他で開催した。府本部から2人が参加した。

講義では貧困問題に取り組む藤田孝典さんが下流老人、下流老人予備軍である下流中年、貧困世代の若者たちという全世代に広がる貧困の現状を解説。そして、その貧困に対抗するために高等教育・住宅を脱商品化する戦略や、世界各国で動き始めた福祉政治を語った。

次の北川鑑一弁護士の講義では、労働基準法や労働者派遣法の規制緩和が進められてきた問題について学んだ。その後の分散会では、安心して定年まで働き続けられる職場づくりについて討論した。また、定時で帰れる人員配置や、時間外勤務の実態把握と削減に努めること等を要求書にまとめて発表した。

最後に日本退職教職員協議会の西澤清さんが、強行突破された共謀罪や憲法改悪の動きと私たちが取り組むべきことを語った。労働学校を通じて全国の仲間と交流し、学び合うことができた。

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