2018年1月1日号(第763号)

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仲間、職場、地域を守るため 「地道な努力」を実践しよう
自治労京都府本部 執行委員長 高橋 直樹

新年明けましておめでとうございます。組合員とご家族のみなさまに謹んで新年のごあいさつを申し上げます。また旧年中は、自治労京都府本部の様々な活動や取り組みにご協力いただきましてありがとうございました。

とりわけ急な衆議院の解散総選挙におきましては、突然の要請にもかかわらず多大なご尽力を頂き、大きな成果を収めることができました。今後は、自治労方針である「中道・リベラル勢力の結集」をめざし、京都の地においても、積極的な役割を果たして参りたいと思います。

今年は戊戌(つちのえいぬ)といい、前向きに地道な努力を重ねることが出来るかどうかで運気が大きく変わる年だと言われています。昨年、新潟において開催されました自治労大会のメインスローガンは「力あつめ、前へ。」というものです。仲間・職場・地域を守るという労働組合の基本的役割を再認識し、それを各職場において地道な取り組みとして実践していくことが、自治労を創る・育てる・広げるという運動に発展していくということであり、まさに「地道な努力」の実践が求められています。

そして、突き進む年と言われる亥年(いどし・参議院選挙もある2019年)へ向け、着実に準備を整えていく年でもあります。

私たちの暮らしを守ることはもとより、平和の大切さ、憲法の重要性を考え、格差のない連帯社会を実現していくため、そして、そのために欠かすことのできない、参議院選挙自治労組織内候補予定者『岸まきこ』さんの勝利へ向け、全力で邁進して参りたいと思います。

みなさまにおかれましても、それぞれの職場・地域でご奮闘いただきますことをお願い申し上げまして、年頭のごあいさつとさせて頂きます。

2018新春対談 公共サービスは素敵な職業

守るためには労働組合の役割が重要

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現場にあった政策を実現したい

自治労本部は、昨年8月の新潟大会で、2019年夏に予定される参議院選挙の自治労組織内候補予定者に、あいはらくみこ参議院議員の後継者として、岸まきこさんの擁立を決定しました。

この新春対談は、あいはらくみこ参議院議員と岸まきこさんを迎え、労働組合や政治、地方分権に対する思いと決意を語っていただきました。

活動を振り返って
高橋
あけましておめでとうございます。まずはあいはらさん、初当選から10年半を振り返って印象深かったことは?
あいはら
非正規労働者の問題は、わたし自身の課題の一つでした。まだ課題は残されていますが、昨年の国会で「地方公務員法」と「地方自治法」の改正を実現したことです。また、公務員制度改革に取り組む中で、地方の状況が国とは違うということを議員が取り上げ、「地方重視」の風潮が生まれたことも印象に残っています。
高橋
今回、岸さんにバトンタッチされる決断をされましたが。
あいはら
後任として岸さんを昨年8月の段階で決定いただいたことは非常によかったです。自治労の現場は外郭団体も含め全国各地に本当にたくさんあり、なかなか回りきれませんので。
高橋
バトンを受け継ぐ岸さんが、組合活動をするようになったきっかけを教えてください。
北海道の栗沢町という人口7000人くらいの小さな単組出身です。100%組合員で、最初から違和感なく、組合はみんなでやっていくものというのが当たり前でした。意識をもって組合活動を行うようになったのは2000年からで、上部団体に女性部の役員として派遣されたことがきっかけです。役員をはじめた直後に、役場の財政難から共働き職員の妻だけに早期退職勧奨が出ました。それを断ると、町長は新たな部署を作って一般行政職の共働きの妻たちを異動させて庁舎内の清掃をさせるという、嫌がらせ人事を提案してきました。女性が黙っていたら危なく泣き寝入りをするところでしたが、自治労北海道本部の協力のもと労働組合が交渉し白紙撤回することができました。単組だけでは知識もないし、情報も少なく、自治労という上部団体のスケールメリットと情報の重要さを感じました。配属などで男女差別を感じていたこともあり、労働組合がないと職場の問題も解消されないという思いを持っていました。
あいはら
小さな自治体では、窓口に女性がいると住民の人から「あんたがいるからうちの子どもたちの働く場所がないんだ」とか言われたり女性がターゲットになることがあります。
高橋
夫が管理職になっていくと妻が辞めるということもあると聞いています。
全国的にそういうのが残っていて。栗沢町だけにいたら、おかしいことに気が付かず、当たり前だと思っていました。うちの町役場では普通のことが他では異常だということに若い時に気付けたのは自治労のネットワークのおかげです。そのことが衝撃的で、組合活動に目覚めました。
労働組合の現状と課題
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自治労組織内参議院議員
あいはらくみこ
高橋
自治労は組織状況の厳しさを打ちだして、昨年の大会スローガンを「力あつめ、前へ。」としました。お二人から見た自治労の現状や要望についてお聞かせください。
あいはら
社会的背景や意識も全然違うし、住民の目もあるので、組合活動そのものが難しくなってきています。私が自治労運動に入った30年以上前は100万人自治労でしたが、正規労働者が減り、組織も小さくなってきました。組合が小さくなり弱くなれば、要求してもなかなか実現しません。だからといって要求しなくなったら、どんどん悪くなるのは目に見えている。今やるべきことを見直して、足元を固めることが最優先ですね。
組織対策局長だったこともあり、組織の弱体化はずっと感じています。色んな単組へ行きましたが、問題意識をもつ若手がなかなか入ってくれないという悩みをよく聞きました。わたしは41歳ですけど、採用抑制でこの年代から35歳までの次代の担い手層がぽっかりいないことが、運動が弱まっている要因かなと。青年部に期待していますが、10年、5年空いていると、なかなか大変で、大きな課題です。
高橋
単組を回ることで初めて実態がわかるということもありますね。
あいはら
京都でも府下と京都市内では状況がまったく違いますよね。地域手当は特にそう。川を挟んで「あっちはあるのに、こっちはない。なんで?冗談じゃない」と。例えば、東京は住宅費が高いかもしれないけど、移動手段は選択できるくらい幅広くある。北海道は一家に1台どころか、一人に1台車がないと暮らせないとかなのに、東京23区は20%。国の機関があるだけで相当違いますよね。京都の経済状況は悪くないですよね。
高橋
京都市は他都市と比べ、安定した税収といわれる固定資産税収入が少ない。今は観光業がよくなってきていますが、観光は非正規労働者が7割以上を占め税収がストレートに跳ね返ってこない現状があります。連合京都とも連携し京都府と京都市が観光業の非正規労働者を正規に変えるような政策を行政として試みています。
あいはら
それが実現すると街全体が潤っていきますね。今の日本の経済の仕組みがこのままいったら税収は落ちる一方ですね。
地方の役割が全体化されればいいんですけどね。今のまま非正規労働者が増えていくと将来的に地域の財政はパンクしてしまいます。
高橋
政治とのつながりでは、公務員は特に仕事も労働条件も法律に左右されますが、意識として結びつかない。そこをいかに訴えかけるかが課題となります。
あいはら
それが私たち政治家の役割。保育園の問題では、保育士の処遇が低く働き手が少ないので、結果として保育園が足りなくなり、待機児童が増えるとか。処遇改善の財源は、地方自治体が考えるのか、それとも国なのか、という話になります。自治体立病院や、生活保護費の問題などもすべて関係してきます。年金相談員として働いていた時、3号被保険者控除の制度が変わりました。12月議会で決まって4月施行となり準備期間もなくて、現場は大変混乱しました。法改正が自分たちの仕事に密接に関わってくることをきちんと伝えていくことが必要です。
高橋
当時、年金担当部署の嘱託職員の業務の見直しにより100人解雇という話が出ました。自治労で組織して交渉して、最終的には解雇されずに雇用を継続することができましたが、その時の嘱託職員からとても感謝されたことを覚えています。
あいはら
今は労働組合が拳を振り上げて何か獲得できるということは少ない。個人でできるかというと、それもできない。地道に積み上げていく役割を労働組合が果たしていくことが重要ですね。
政治の道をめざす理由
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第25回参議院全国比例区選挙
自治労組織内候補予定者
岸まきこ
高橋
あらためて、政治の道をめざす理由は?
一つは、あいはらさんが次の候補者も「女性を」という思いがあったと聞いたこと。自治労の45%は女性なんです。二つ目は「組織強化」ですね。特に私より下の年代が自治労運動を支えきれていないと感じているので、そのきっかけになればと思いました。政治闘争はわかりやすい方針で、目標は勝利一つしかない。わかりやすい目標にみんなで取り組むという経験が必要だと思っています。3つ目に、それをもっとわかりやすく伝えていかないといけないのかな、と決意しました。
高橋
女性として一番期待するところは何ですか。
あいはら
参議院では女性議員が20%、衆議院では10%しかいません。長生きして長く年金をもらうのは女性なのに、男性だけで議論する。子育ても介護も同様で女性議員の絶対数が足りないと思っています。自治体職場で課題になるのは介護、保育、医療。そして、学童保育や学校給食など圧倒的に女性が多い職場です。彼女たちが職場の実態を話してくれたことで解決できたことも多いので女性の議員は必要だと思っています。
昨秋の衆議院選挙後から職場を回っていますが、どの職場にいっても一番にいわれるのが「保育が大変。何とかしてほしい」。東京や大阪だけが待機児童が多いのではなく、地方でも保育士が足りず、募集しても労働条件が低くて集まらないのが現状です。国のお金が自治体までは入ってくるけど、保育園までお金が流れない仕組みなどの深刻な問題がありますね。保健師も、介護福祉士も足りないという実態を聞きます。女性に限らず職場の数だけさまざまな課題があります。また、若手組合員から「反対、反対ばかりでなく何を対案として示すのですか?」と聞かれたことがありました。そこに関心をもってくれたことに「いいな」と感じましたし、単組や職場を回り、様々な意見を聞き吸収したい。一つ一つ勉強して、みなさんに育ててもらいながら成長していきたいと思います。
あいはら
自治労の代表として色んな意見を聞いてほしい。国会で給与法は改定されるが、ほとんどの自治体は人事院勧告どおりが当たり前で、国準拠となっている。組合員のみなさんも、まさに自分たちの処遇を含めて政治で左右されるところにもっと意識を向けてほしいと思います。
自治労の代表として
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自治労京都府本部 執行委員長
高橋直樹
高橋
最後に、抱負や決意をお願いします。
自治労の代表として、なんとしても議席を引き継ぐため、自分自身の強い信念を、みなさんにわかりやすく伝えていきたいと思っています。地域を守るにも、住民を守るにも、公共サービスが大事だと思っています。自分も携わってきましたが、民間も含めて、正規の方も非正規の方も、公共サービスは素敵な職業だと思っています。公共サービスのほとんどは人の力で成り立っているのに、実は住民に知られていない。人がいないと回らないのに、そこの職員を大事にすることをせず、条例に基づいて働いているのに、国の政策でやりづらい仕事の仕方になってくる。現場にあった政策を実現するために努力を続けていきたいと思っています。京都にもお邪魔しますので、よろしくお願いします。
あいはら
本人は自治労の仲間の代表としてがんばると決意している。自治労のめざす政策実現のために議席を受け継いでいってほしい。自治労の協力国会議員は、党派は違いますが19名います。住民に近い公共サービスを守るため、わたしも一緒に回らせてもらいますので、みんなでがんばりましょう。
高橋
京都府本部も全力で応援させていただきます。ありがとうございました。

情報 担い手不足について話し合おう

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組合役員を確保するため、輪番制で順番に役員を担う単組も多いほか、やむを得ず「くじ引き」や「じゃんけん」によって役員を決めている単組もある。

2015年の自治労や民間労働組合の青年、女性、ユース役員を対象にした「次代のユニオンリーダー調査」では、次の状況が明らかとなった。

自治労では単組・支部の役員、担い手の確保に苦労したとの回答が7割であり、執行委員になったきっかけは「組合役員に勧められて」が半数、「順番で」が約3割に達している。民間組合では「順番で」の回答はごくわずか。  また、若手役員からみて「自分が育成されているとの実感があるか」の問いに対して、「ある」とした自治労の若手役員は残念ながら、約4割にとどまった。一方、民間組合の若手役員の育成感は7割に達し、自治労との違いが際立っている。2007年調査に比べれば4ポイント上昇したものの、育成感はやりがいや満足感に直結するものであり、育成方法の検討が必要だ。

労働組合は、一人が解決できない職場の問題をみんなで解決する組織だ。職場環境の改善は組合役員だけで進められるものではなく、担い手がいないと組合活動は停滞する。

このように労働組合が直面する悩みを職場全体で理解し、「組合員みんなが関わることのできる組合にするには何が必要か」、「役員をサポートするためには何が必要か」みんなで考える機会をつくり、次代の担い手を育てよう。

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