2020年1月1日号(第801号)

photo

原点回帰から新しい時代へ

労働組合活動の基本は、現場・職場・地域を起点とする運動だ。賃金・労働条件をはじめとした職場で働く仲間の不安や悩みの改善に向け、組合員の意見や要望を要求書に盛り込み、実現させる取り組みが必要だ。
府本部は今年再建30周年を迎える。今一度職場を起点とした運動の原点に立ち返ると同時に、組合員が組合活動を実感できるような新しいチャレンジを通じて、新しい時代を切り拓こう。

photo
組合運動の初心に立ち返り
組織の強化・拡大につなげよう

自治労京都府本部 執行委員長 高橋 直樹

新年明けましておめでとうございます。組合員とご家族のみなさんに謹んで新年のごあいさつを申し上げます。また旧年中は、自治労京都府本部の様々な活動や取り組みにご協力いただきまして誠にありがとうございました。

とりわけ4月に行われました統一自治体選挙ならびに7月の参議院選挙におきましては、みなさんに多大なご尽力を頂きました。その結果、大きな成果を収めるとともに、自治労の代表である「岸まきこ」参議院議員の初当選を勝ち取ることができました。岸参議院議員は現在、私たちの処遇や職場環境の改善に大きく関連する参議院内閣委員会に所属して活躍中です。今後は、当選されました皆さんの活動を支援するとともに、これまで以上に連携を深め、公共サービスの充実・強化へ向けて邁進して参りたいと思います。

今年は十二支の最初の年となる子年(ねどし)です。さらに今年の干支の庚子(かのえね)は「新たな生命がきざし始める状態で、新しいことにチャレンジするのに適した年」といわれています。このような年の3月2日、自治労京都府本部は再建30周年を迎えます。この記念すべき年に、改めて組合運動の初心に立ち返り、職場における切実な要求や要望に十分耳を傾け、組合員一人ひとりが労働組合の意義を実感できるような活動の実現に向けて全力で取り組んで参ります。そしてそのことを通じ、単組活動の活性化による組織の強化・拡大に繋げていきたいと思います。

加えてこの1年間、京都府内においては2月の京都市長選挙・八幡市長選挙を皮切りに、私たちの処遇改善はもとより、大切な職場を守っていくための重要な取り組みである首長選挙が数多く予定されています。私たちの生活を守るため、そして豊かな地域社会を創造していくためにも、それぞれの職場・地域で、文字通り一致団結し、ご奮闘いただきますことをお願いいたしまして、年頭のごあいさつとさせていただきます。

2020新春対談

挑戦と継続が力の源

誰もが活躍できる共生社会をめざして

「できない」ではなく、「どうすればできるか」を考える

2020年夏、東京オリンピック・パラリンピックが開催される。府本部も再建30周年を迎える節目の年となる。人生100年時代の重要なキーワードに健康やモチベーションアップがあげられる中、労働組合も組合員の生活を守り、いきいきとした暮らしの中で家庭と仕事が両立できる社会をめざしている。多様性を認め、誰もが能力を発揮し活躍できるパラスポーツには共生社会の実現に向けた大きなヒントがありそうだ。

パラアスリートとして第一線で活躍してこられた寒川進さんに、挑戦することの素晴らしさと継続するための秘訣を聞いた

photo
障がい者陸上
寒川 進
(オムロン京都太陽株式会社)

1968年網野町(現京丹後市)生、京都市在住。20歳の時の事故で車いす生活に。車いすバスケットとの出会いから、全国車いす駅伝に出場する。長年にわたり出場し2年連続の京都Aチーム優勝を果たす。2004年開催されたアテネパラリンピックでは1600mリレーで銅メダルを獲得。2016年「京都スポーツの殿堂」に選ばれる。
photo
執行委員長
高橋 直樹
(自治労京都府本部)

進行・教宣部長 谷口 富士夫(自治労京都府本部)

パラリンピックについて
谷口
あけましておめでとうございます。今年は東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。ご自身とスポーツの関わりについて教えてください。
寒川
昔から球技は好きで中学時代はバレーボールをしていました。20歳の時の事故で下半身が不自由となり、最初は車いすバスケットをしていましたが、京都で開催されている車いす駅伝を観て感動し陸上を始めました。京都マラソンにも毎年参加しています。
高橋
自治労は京都マラソンの給水ボランティア活動にも府本部として取り組んでいます。また、毎年スポーツ大会で軟式野球、バレーボール、フットサルの大会を行い、組合員同士の交流を図っています。
谷口
パラリンピックに出場しての感想を教えてください。
寒川
疲れました、ですかね(笑)。出場するには大変な苦労が伴いますが、出場できるのはごく一部の選手です。国の代表として参加するので結果が求められ、選手は常々自らにプレッシャーをうけながら参加します。 谷口 東京パラリンピックに向けて一言お願いします。
寒川
とにかく日本選手の活躍を期待しています。パラリンピックの各競技も年々レベルが上がっており、世間の認知度も向上しています。結果、普通に仕事をしながらトップレベルの競技力を保つことが難しくなってきました。プロとして活動されていている方も多くいますが、パラリンピックが終わった後に生活できなくなるのでは意味がありません。生活を維持しつつ競技力を維持向上し続けられるシステムが必要と思います。
高橋
前回(1964年)の東京パラリンピックで日本選手団のほとんどはまるで病人扱いだったそうです。障がい者の自立という観点からも盛り上がってほしいですね。連合もボランティア活動等を通じてパラリンピックを応援しています。一緒に盛り上げていきたいと思います。
挑戦と継続
谷口
お二人のこれまでとこれからの「挑戦」についてお聞かせください。
寒川
私は長い間、仕事をしながら車いす陸上を続けてきました。当然、他のトップ選手とは練習時間等の差もあり、暗くなってからは屋外では練習ができないのでローラー中心の練習となります。ローラーは精神的に嫌になりますが、その分集中力や創造力が磨かれましたし、そういう環境だからこそ長年続けられたと感じています。今後も向上心を持って競技を続けていきたいですね。
高橋
私も仕事柄、外食が多く、約30年間最低でも週1回はスポーツジムに通うようにしています。健康年齢が大事なので続けるようにしていますが、トレーニングをしないとストレスも溜まりますね。
谷口
物事を長く続けるための心得があれば教えてください。
寒川
何事もその時々を楽しむことですね。スポーツに関して言えばトレーニングは辛いものですが、それでも目標をもって取り組めば達成感や充実感を味わうことができ"楽しい"につながります。
高橋
怪我をしてからスポーツを始めるまでの葛藤はありましたか。
寒川
事故した当時はお先真っ暗という状態でしたが、リハビリ活動で車いすでもできることが増えました。そんな中で出会った陸上競技での色んな出会いや経験が支えてくれました。以前小学校に講演に行った際、障がいが無くなったら何がしたいですかと質問されましたが、やりたいことは何でもやっているので思いつきませんでした。何事にも「できないではなく、どうすればできるか」を考えるようにしています。
谷口
これからチャレンジする人に向けて一言。
寒川
障がい者スポーツで言えば、様々な障がいに合わせたスポーツが行われているので、積極的に出会う機会を作ることと、最初から無理と考えずに、やってみようと思うことが大切です。体を動かすので健康面にもいいですし、スポーツをすれば色んな仲間にも出会うことができます。
高橋
足を運ぶことで人間関係が広がり、連帯する中で物事が広がるということですね。一人ではなく仲間との連帯で物事を進めるのは、労働組合活動と共通します。今、流行りのラグビーのOneForAll. AllForOneの精神も同じですね。
共生社会をめざして
谷口
障がい者差別禁止法が施行されましたが、障がい者が働く場所としてオムロン京都太陽の成り立ちや理念をお聞かせください。
寒川
オムロン京都太陽は、社会福祉法人太陽の家とオムロンが理念と資本を注入して設立した京都で初めての特例子会社です。前回の東京パラリンピックで団長を務めた太陽の家創設者の中村裕先生が掲げた「No Charity, but a Chance?保護より機会を?」と、創業者の立石一真氏が制定したオムロンの社憲、「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」という企業理念の共鳴により障がい者雇用へのチャレンジがスタートしました。
高橋
自治労は毎年、障がい労働者全国連絡会の総会を開催し、障がい者の労働権を獲得しようという運動を進めています。人生100年時代でもあり、誰でも80歳を超えるとどこかに痛みや障がいを抱えるようになりますので、障がいは個性という捉え方が重要です。区別することなく、同じ社会参画を求める運動を作っていく必要があります。
寒川
「障がいは個性」その通りです。オムロン京都太陽でもそこに着目して企業運営が行われています。精神障がい者の人も増えていますが、ひとつの個性と捉え、それを活かした共生社会をめざしています。
谷口
街づくりや都市整備について、不自由な面、変えてほしい面はありますか。
寒川
車いす利用者という観点では以前はトイレや階段の昇降にも苦労しましたが、ここ数年でずいぶん改善されほとんど不自由を感じていません。しかし、障がいの種類や程度より、様々な課題があり、これで大丈夫とはなりません。障がいを持つ者や周囲の方が積極的に意見を言い、改善されるようなサイクルが必要だと思います。
今年の抱負
谷口
最後に今年の抱負を教えてください。
寒川
2020年、私にとっては仕事面でチャレンジの年です。その為に日々悩みながら今を過ごしています。もちろん、競技において今のパフォーマンスを維持しつつ、仕事面でも充実させたいですね。事故で障がい者となりましたが、車いすの陸上に出会い、努力をすることで色々な経験をさせていただきました。この競技に出会えたことは私の人生の中で「ラッキー」だったと思います。2020東京大会では私の知り合いも多く参加すると思います。今からドキドキしながらその時を待っています。がんばれ日本!
高橋
府本部は今年再建30周年を迎えます。労働組合も組織率低下や組合離れと言われますが、組合がなくなると職場はより悲惨な状況になります。組合員の切実な思いを集め、職場での身近な要求につなげる。地域・職場に根差した運動を広げ、各単組活動の活性化につなげることで、組合員の生活や労働環境を守りたい。そのことが誰もが活躍できる共生社会にもつながると思います。ありがとうございました。

ねずみが守る大黒様 大豊神社(京都市左京区)

大豊神社
◆所在地:京都市左京区鹿ケ谷宮ノ前町1
◆アクセス:市バス「宮ノ前」下車、徒歩約8分/市バス「東天王町」下車、徒歩約10分

哲学の道の南端近く、道沿いの東側。掲示されている案内板にしたがって大豊橋を東に渡り、ゆるやかな石畳の坂を少し登ると大豊神社にたどりつく。

大豊神社は平安時代初期(887年)に宇多天皇の病気平癒を願って藤原淑子が創建したと伝えられている。本殿には医薬の祖とされる少彦名命(すくなひこなのみこと)、菅原道真公、応神天皇が祀られている。しかし、この神社は本殿よりも境内にある末社がそれぞれの特色があり興味深い。

特に大国主命(おおくにぬしのみこと)が祀られている大国社には、狛犬ならぬ狛ねずみが鎮座。12年に一度のねずみ年にはテレビや新聞で取り上げられ、正月には初詣客で長蛇の列となる。

左側の吽形狛ねずみが抱えているものは豊穣や薬効を象徴する水玉で子宝や長寿を表す。右側の阿形狛ねずみは学問を意味する巻物を持っている。

大国社の狛ねずみは大国主命を助けたというねずみの伝説がその起源になっており、大豊神社由緒略記によると、大国主命が火攻めに遭遇した際にねずみが現れて、洞窟に大国主命をかくまって助けたことが古事記に書かれているそうだ。

同神社内にある他の末社にも、災難よけの神・日吉社には狛猿、火難よけの神・愛宕社には狛鳶(とび)、商売繁盛の神・美田稲荷社には狛狐がそれぞれ鎮座している。おまけに金運を願う狛蛇まであり、まるで動物園のよう。

ご利益は、縁結び、健康長寿、学問成就など一度に授かることができ、とても縁起の良い神社だ。哲学の道の散歩がてらに狛ねずみをはじめとした動物たちに会いに出かけてみてはいかが。

『自治労きょうと』一覧に戻る